ビタミンCを検出する科学実験は、市販の実験キットを使えば簡単にビタミンCが食材やジュースに含まれているかを調べることができますが、使用するビタミンC検出薬では、どれだけのビタミンCが、調べる液体に含まれているのかまでは計算することができません。小学生の自由研究としては、ビタミンCが含まれているかどうかを調べるだけでいいと思いますが、中学生や高校生が行なう自由研究としてはビタミンCがどれだけ含まれているのか、含有量まで調べると内容の濃い実験内容になります。うがい薬を使ってビタミンCを検出し、どれだけのビタミンCが含まれているのかを実験するための動機・考察・実験方法・結果・まとめ方について紹介します。

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うがい薬を使ったビタミンCの検出実験の基礎データ

難易度 簡単
対象 中学生以上
実験期間 1日
テーマ 実験
費用 1300円

前回、実験キットを使った「 ビタミンCを調べよう 」という自由研究を行ないました。ビタミンCが含まれているかどうかを調べるもので、小学生の理科実験として行ないました。実験材料は同じなので、中学生や高校生に向いている内容の発展した研究内容にしたいと思います。費用はビタミンCが含まれているかどうかを調べるためのものとうがい薬の費用です。

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用意するもの

材料 個数
うがい薬
ヨウ素液が含まれているもの
1個
プリンなどのカップ 5個
玉ねぎ 半分
レモン 半分
トマト 半分
大根 半分
キュウイ 半分
アセロラジュース 1本
オレンジジュース
濃縮還元果汁100%
1本
レモンティー 1本
日本茶 適量
牛乳 1本
オレンジジュース
濃縮還元果汁40%
1本
オレンジジュース
濃縮還元果汁20%
1本
オレンジジュース
濃縮還元果汁1%
1本
古いレモン汁 1本
みかん 半分
おろし金 1個
トレイ 1枚
キッチンペーバー
または新聞紙
1枚

ビタミンCが含まれているか、いないかは気にせずに、家の冷蔵庫に入っている野菜や果物・ジュースやドリンクなどを使って調べるといいです。実験をするときに、すべて違う食材や飲み物を選ぶのではなく、買うのであれば、1種類のイチゴのビタミンCを調べるのではなく、農園や種類の違うものを選び、同じものでも違いを調べてみるといいです。

今回はオレンジジュースの果汁の割合が違うものを準備して、含まれている荷重によってビタミンCの量がどれだけ違うのかを調べてみたいと思い、買い揃えました。実験が終わったら、飲む楽しみもありますし。

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うがい薬を使ったビタミンC検出の実験方法

目的・きっかけ・動機

学研の実験キット「 ビタミンCを調べよう 」を使って自由研究を行ないましたが、ビタミンCがジュースや果物・野菜に含まれているかどうかだけを調べたのでは、中学生や高校生の自由研究の内容としては物足りなさがあり、さらに実験内容を発展させて、どれだけのビタミンCが含まれているのかまで調べてみたいと思いました。

実験1・・・うがい薬でビタミンCが検出できるか調べる

実験2・・・調べる液体にビタミンCがどれだけ含まれているか調べる

実験3・・・ビタミンCの量を調べる

実験のやり方

調べる野菜や果物の液体、ジュースやドリンクにヨウ素液が入っているうがい薬を1滴ずつ入れて、もとの液体の色が青紫色に変化するまで入れます。液体の色が変化するまでに何滴のうがい薬を入れたのかを調べ、そこから、ビタミンCがどれだけ含まれていたのかを計算します。

実験の準備をする

野菜や果物の果汁を抽出する

調べたい野菜や果物から液体を抽出しないといけません。液体を取り出すためには絞らないといけませんので、道具を使って絞る必要があります。野菜や果物から液体を取り出す方法としては、

・ジューサーで絞る
・ミキサーで細かくしてから絞る
・手で絞る
・おろし金でおろして汁を絞る

などの方法がありますので、家にあるものを使って液体を抽出します。実験で使う果汁・液体の量は5cc~10ccです。

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実験方法

実験1 ビタミンCにうがい薬を入れて変化を確認する

学研の実験キットに入っていたビタミンCの粉末とただの水を準備しました。写真の左側がビタミンCを溶かした液体、右側が水道水です。それぞれの液体にヨウ素液が含まれているうがい薬を入れて、何滴入れたら液体の色に変化があるかを調べます。

液体の中にうがい薬を入れる様子を動画で撮影しました。液体の色がうがい薬のヨウ素液によって青紫色に変化しますが、ビタミンCとヨウ素液の反応の関係について調べてみようとと思います。

実験1 ビタミンCとヨウ素液の反応について

ヨウ素とは、相手を酸化させやすい性質を持っていて、物質を酸化させる働きがある物質のことを酸化剤といいます。ビタミンCとは、相手を還元させやすい性を持っていて、物質を還元させる働きがある物質を還元剤といいます。

酸化とは、物質が酸素と結びついたり、奪われたりすることをいい、酸化した物質のことは酸化物と呼びます。

還元とは、酸化物から酸素を奪われたり、結びついたりすることをいいます。

ビタミンC(アスコルビン酸)が液体の中に入っていると、ヨウ素とビタミンCが反応してビタミンCが酸化し、ヨウ素は還元されて、ヨウ化水素という無色の物質に変化します。さらにヨウ素を入れていくと、還元するためのビタミンCがなくなり、還元できないヨウ素が多くなると液体が青紫色に変色します。

左の液体がうがい薬を入れる前の液体で、右が液体にうがい薬を入れてヨウ素液が多くなり青紫色に変化した液体です。

化学反応式で表すと、図表のようになります。

ビタミンC(アスコルビン酸)+ヨウ素 ⇒ デヒドロアスコルビン酸+ヨウ化水素

となります。

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実験2 カップに液体を5cc入れる

プリンやゼリーの空きカップに調べる液体を5cc入れます。5ccは小さじ1の量です。液体の比重は1.0なので5ccは5gなので、計量器があるなら計量器で量ってもいいです。今回は5つのカップを準備し、調べたい液体は15個ありますので、3回に分けて実験を行ないます。

正しい実験結果を得るために、1回目の実験が終わったらカップを洗い、きれいな状態にして次の実験を行ないます。カップに前回の液体が残った状態で実験を行なうと正しい結果を得ることができません。

実験に使う液体をカップ分、準備します。

実験2 うがい薬を調べる液体に入れる

調べる液体に、うがい薬を1滴ずつ入れていきながら、かき混ぜます。カップをまわすように振ると液体が混ざりますが、割り箸などをつかってかき混ぜても大丈夫です。でも、1つ注意する必要があり、1つの液体を調べ終わったら綺麗に洗ってから次の液体をかき混ぜるようにしないと液体が混ざってしまい、正しい実験結果が出なくなります。

画像の上半分は、調べる液体で、下半分がうがい薬を入れて変色したものです。色の変化を見比べるために準備しました。色の変化が分かると思いますが、実際に実験をすると、変色するときの色の違いがよく分かります。

調べた液体 青紫色に変化した滴数
タマネギ 7滴
レモン 13滴
トマト 13滴
キュウイ 14滴
大根 7滴
アセロラジュース 32滴
オレンジジュース
濃縮還元果汁100%
49滴
レモンティー 9滴
日本茶 5滴
牛乳 3滴
オレンジジュース
濃縮還元果汁40%
4滴
オレンジジュース
濃縮還元果汁20%
26滴
オレンジジュース
濃縮還元果汁1%
1滴
古いレモン汁 2滴
みかん 13滴

調べる液体に、うがい薬を1滴ずつ入れていき、青紫色に変化するまでの滴数を数えて一覧表にまとめておきます。滴数が多ければビタミンCが多く含まれていて、少なければビタミンCが少ないことを意味しています。

調べる液体にうがい薬を入れるときに1点注意しておいたほうがいいことがあります。それは、1滴1滴入れて一旦やめると写真のようにうがい薬が出るところに液体が溜まってしまいます。この状態のまま、うがい薬を入れると、1滴の量が多くなったり、2滴・3滴とポタポタっと連続して入ってしまい、数を正しく数えることができなくなってしまうことがありますので、拭きとってから使うようにするといいです。

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実験3 ビタミンCの量を計算してみる

ただ、ビタミンCの量が多いか、少ないかだけを調べるだけでは中学生や高校生の実験としては物足りないです。教科書で学んだことを活かすのであれば、どれだけのビタミンCが含まれているのかまで計算してみると面白いです。

計算1 ビタミンC溶液5ccに含まれるビタミンCの量を調べる

今回は、学研の「ビタミンCを調べよう」に入っていたビタミンC粉末を使って調べます。このビタミンC粉末はひとさじ約10mgありました。半分にして5mgのビタミンC粉末を10ccの水に溶かしたら、5mgのビタミンCが含まれていることになります。

ビタミンC溶液5ccに含まれるビタミンCの量を調べる方法としては、

算式
ビタミンC溶液5ccに含まれるビタミンCの量(mg)=含まれるビタミンCの量(mg)÷溶かした水の量(cc)×5cc

ビタミンCのサプリメントに含まれる量を調べると簡単に計算することができます。

例えば、200mgのビタミンCが含まれているサプリメント1錠を400ccの水で溶かし、5ccに含まれるビタミンCの量を求めます。上記の青い式に当てはめると、

200mg÷400cc×5cc=2.5mg

計算2 1mgのビタミンCに反応するうがい薬(ヨウ素液)の量を調べる

算式
1mgのビタミンCに反応するヨウ素液の量=色が変わるまでのヨウ素液の量(滴)÷ビタミンC溶液5mgに含まれるビタミンCの量(滴)

ビタミンC溶液にうがい薬を1滴ずつ入れていき、液体の色が青紫色になるまでに何滴必要かを調べます。私が作ったビタミンC溶液は120滴を入れたら色が青紫色に変化しました。

120滴÷5mg=24滴

計算3 調べた液体10ccに含まれているビタミンCの量を調べる

算式
液体5ccに含まれるビタミンCの量(mg)=色が変わるまでのヨウ素液の量(滴)÷1mgのビタミンCに反応するヨウ素液の量(滴)

以上の計算式から、今回調べた5ccの液体に含まれているビタミンCの量を計算したものを一覧表にまとめました。

調べた液体 うがい薬の量 計算式 ビタミンCの量
タマネギ 7滴 7滴÷24滴 0.29mg
レモン 13滴 13滴÷24滴 0.54mg
トマト 13滴 13滴÷24滴 0.54mg
キュウイ 14滴 14滴÷24滴 0.58mg
大根 7滴 7滴÷24滴 0.29mg
アセロラジュース 32滴 32滴÷24滴 1.33mg
オレンジジュース
濃縮還元果汁100%
49滴 49滴÷24滴 2.04mg
レモンティー 9滴 9滴÷24滴 0.38mg
日本茶 5滴 5滴÷24滴 0.21mg
牛乳 3滴 3滴÷24滴 0.13mg
オレンジジュース
濃縮還元果汁40%
4滴 4滴÷24滴 0.17mg
オレンジジュース
濃縮還元果汁20%
26滴 26滴÷24滴 1.08mg
オレンジジュース
濃縮還元果汁1%
1滴 1滴÷24滴 0.04mg
古いレモン汁 2滴 2滴÷24滴 0.08mg
みかん 13滴 13滴÷24滴 0.54mg

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感想・考察

ビタミンCの含有量を調べてみて思ったことは、レモン果汁やアセロラなどのビタミンCが多く含まれている食品やジュースには確かに多く含まれていることが分かります。大根や日本茶にも少ないですがビタミンCが含まれていることを発見できました。今回の日本茶は茶葉から出したものを使いましたが、市販の緑茶ドリンクなどにはビタミンCが含まれています。

ジュースやドリンクのお茶に含まれているビタミンCは、お茶の品質を低下させないために使われることが多く、ビタミンCは酸化を防ぐ働きがあるので成分として入っていることが多いです。

オレンジジュースの濃縮還元果汁の割合が違うものを調べてみましたが、ビタミンCが一番多く含まれていたのは100%ですが、40%よりも20%のほうがビタミンCが多く含まれていることにビックリしました。果汁が多いからビタミンCが多いということではないようです。果汁に使われるオレンジのビタミンCの量によってオレンジジュースに含まれるビタミンCの量も違うことが、このような結果になりました。

ビタミンC400mg配合などと書かれていれば、それだけの量が入っていないとおかしいですが、オレンジジュースはビタミンCの量ではなく果汁の割合を示しているだけということです。

実験をしていて思ったことがあり、調べる液体を加熱したり、凍らせたりしたら、ビタミンCの量がどう変化するのかという実験もしてみたいと思います。レモン果汁は搾りたてと古いモノを使いましたが、実験日数に余裕があれば、1日古くなることでどれだけのビタミンCが減るのかも調べると面白いと思います。

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まとめ

ビタミンCが含まれていることを調べる方法として、ビタミンCがヨウ素液にどのくらいの量で色の変化をするかで調べましたが、うがい薬に含まれているヨウ素液の量から調べることもできます。うがい薬1滴の量が約0.05mlなので、どのぐらいのヨウ素で、どのぐらいのビタミンCが反応したのかを調べることができます。

小学生の自由研究として「ビタミンCを調べよう」のまとめ方で化学反応式まで調べることは難しいですが、中学生や高校生なら化学の授業で習うことを使って研究内容をまとめることができる実験内容です。できたら、ジューサーやミキサーを使って液体を絞れる機械があると、ビーマン・ナス・キャベツなど液体を絞りにくい食材も調べることができるのでおすすめです。

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