自由研究のテーマで氷を使った実験をしてみたいと思いましたが、どんな科学実験があるかなぁと考えたときに水以外のものを凍らせてみようと思いました。

冷蔵庫で氷を凍らせることはありますが、他のジュースやコーヒー・スポーツドリンク・炭酸飲料などを凍らせてみよう。残ったら飲めるし・・・と思っていましたが、実験を行なう上で濃度が同じもので凍り方を比べてみる必要があると思い、食塩水と砂糖水を同じ濃度にして凍り方を比べる実験をしてみました。

 

食塩水と砂糖水の凍り方を比べる実験の基礎データ

難易度 ふつう
対象 小学校4年生以上
実験期間 30分
テーマ 実験
費用 200円

実験自体は、そんなに難しいものではありませんので小学4年生以上であれば行なうことができます。

道具が揃っていれば実験はできますので興味を持つのにはいいかも知れませんね。

中学生になれば、実験結果に対してどうしてそうなるのかまで調べてまとめることができます。

 

準備する道具

材料 分量
30g
砂糖 10g
プラスチック製
コップ
3個
試験管 2本
かき氷機
または
アイスピック
1つ
計量器 1個
100g
スプーン 1本

塩は10gと20gに分けて使います。

かき氷機またはアイスピックは、氷を細かく砕くために使います。

試験管を入手することができないときは、100均にある化粧水などを入れる容器でも代用できます。

食塩水と砂糖水の凍り方を比べる

水溶液を作る

プラスチック製コップを2個準備して、計量器で量りながら1つずつのコップに塩10g、砂糖10gを入れます。

食塩水と砂糖水の濃度を一緒にするために正確に量るようにします。

食塩を入れたコップに100ccの水を入れます。

計量器は、食塩10gと水100ccの合計110と重さが表示されています。

食塩水を作ったら、同じように砂糖水も作ります。

プラスチック製コップには付箋で食塩水と砂糖水が分かるように貼り付けておきます。

試験管に水溶液を2cc入れる

計量器にコップを乗せて、食塩水を2cc入れます。

正確に2ccにすることが実験では大切です。

コップに入れた2ccの食塩水と砂糖水を試験管に移して、試験管にも付箋を貼って分かるようにしておきます。

寒剤を作る

プラスチック製コップに氷と塩を入れて寒剤を作りますが、氷が大きいと試験管の周りを冷やすことができずに、試験管に入れた水溶液(食塩水と砂糖水)が凍らないという原因で失敗することがありますので、かき氷機やアイスピックで氷を小さく砕きます。

かき氷機で氷を細かく砕きます。

細かくなった氷をプラスチック製コップに入れて移します。

プラスチック製コップの7割ほどまで砕いた氷を入れます。

次に食塩20gを入れます。

食塩が塩全体に混ざるようにかき混ぜます。

かき混ぜにくいときは水を入れてます。

かき氷機で細かく砕いたので水は入れなくても塩を全体に行き渡らすことができました。

実験:食塩水と砂糖水の凍り方を比べる

寒剤、氷水の中に食塩水と砂糖水が入った試験管を同時に入れます。

10秒後に試験管を出して見たら、砂糖水のほうはすでに凍りはじめていました。

砂糖水は30秒で氷になりましたが、食塩水は1分30秒で氷になりました。

食塩水を取り出したときには、凍っていませんでしたが、試験管を振ったら凍っていきました。

濃度10%の食塩水と砂糖水が1分30秒後には凍りました。

実験結果

項目 砂糖水 食塩水
凍るまでの時間 30秒 1分30秒
凍った温度 -0.9℃ -6.2℃

砂糖水が先に凍り、食塩水のほうが凍るのが遅かったです。

今回はクッキング温度計を使って砂糖水と食塩水が凍る温度を調べてみたら、砂糖水は約-0.9℃で凍り、食塩水は約-6.2℃で凍りました。

砂糖水よりも食塩水のほうが低い温度でないと凍らないことが分かりました。

どうして砂糖水と食塩水で凍る温度が違うのか?

水に溶かす前の食塩や砂糖は、分子が結びついている状態ですが、食塩は水に溶かすことでナトリウムイオンと塩化物イオンに分かれます。

図のように

砂糖10gは0.176×10の23乗個
食塩10gは2.05×10の23乗個

となり、水に溶けている粒の数が食塩のほうが多くなります。

水に食塩や砂糖を溶かすと水溶液が凍る温度が0℃よりも低くなり、この現象を凝固点降下といいます。

水が凍るときは、水分子同士がくっついて凍りますが、食塩や砂糖が溶けている水溶液は水分子以外のものが混ざっているため、水分子同士がくっつきにくくなり、凍る温度が0℃以下にならないと凍らなくなります。

そして、水に溶けている不揮発性(砂糖や塩)の物質の数が多いほど低い温度にならないと凍らなくなるため、水溶液が凍る温度(凝固点)は低くなります。

このことから、今回の実験で砂糖水が先に凍り、食塩水がより低い温度で凍ったことに間違はないことが分かりました。

 

まとめ

氷水・寒剤に試験管を入れても、凍らないことがあります。

そんなときは失敗したと思わずに、氷の粒・大きさを細かくして再度、実験に挑戦してみて下さい。

氷の粒が大きくて試験管を冷やす温度が下がっていないことが考えられますので、今回の科学実験で行なったかき氷機を使ったりするといいですよ。

十分に冷えているはずなのに凍らないときには、試験管を振って中の水に振動を与えると一瞬で凍ることがあります。

この現象は過冷却といいますが、「過冷却」についても実験してみるといいかも知れませんね。